リアルタイム人数カウント
AIカメラが各ゲートの入退場者数をリアルタイムで正確にカウント。
来場者属性の自動分析
AI画像認識技術により、来場者の年齢や性別といったデモグラフィック情報を推測・データ化。
滞在時間と混雑状況の可視化
各エリアの滞在時間や混雑状況をAIが分析し、リアルタイムで可視化。
クライアントは、大規模なスポーツイベントやコンサートを多数開催する某スタジアムの運営会社様。来場者の安全確保と満足度向上を目的とし、AI画像認識技術を活用した実証実験(PoC)を実施しました。 複数のAIカメラを設置し、リアルタイムでの入退場者数カウント、来場者の属性(年齢・性別)分析、滞在時間の推測を行いました。さらに、取得した混雑状況データとデジタルサイネージを連携させ、来場者に最適な出口を案内するシステムの有効性を検証。 本プロジェクトにより、データに基づいた効率的かつ安全なスタジアム運営の実現可能性が示され、クライアントより高い評価を獲得しました。将来的には、スタジアム全域への本格導入と、取得データを活用した新たなサービス展開が期待されています。
国内外の注目を集める大規模なスポーツイベントやコンサートを年間通じて開催されている、日本有数のスタジアム運営会社様です。常に数万人規模の来場者を迎えるにあたり、最先端技術の導入による「来場者の安全性確保」と「顧客満足度の最大化」を重要な経営課題として追求されており、その一環としてデータドリブンな施設運営の可能性を模索されていました。
既存の防犯カメラシステムはあったものの、その映像をリアルタイムで分析し、運営改善に直結させる具体的なソリューションをお持ちではありませんでした。特に、不特定多数の人間が密集するスタジアム特有の環境下で、高精度な人数カウントや属性分析を実現する必要がありました。 そこで、弊社のAI画像認識技術に関する深い知見と、様々な環境下での実装経験、そして分析結果を具体的なアクション(サイネージ連携など)に繋げるカスタム開発能力を評価いただき、ご相談いただく運びとなりました。
先進的なスタジアム運営を目指す中で、以下のような課題に直面されていました。
大規模イベント終了後、特定の出口に来場者が殺到することで発生する混雑が、転倒事故などのリスクに繋がる懸念がありました。また、長時間の退場待ちは来場者のストレスとなり、イベント全体の満足度を低下させる一因となっていました。
各エリアの混雑状況や来場者の流れを、主にスタッフの経験や感覚に頼って判断していました。そのため、警備員や案内スタッフの配置が必ずしも最適化されておらず、非効率な人員配置や、突発的な混雑への対応遅れが生じることがありました。
チケット販売数から総来場者数は把握できるものの、どのような属性(年齢層、性別)の来場者が、どのエリアに、どのくらいの時間滞在しているのか、といった詳細なデータを取得する手段がありませんでした。これにより、施設改善やスポンサーへの効果的なレポートティングに繋がるインサイトを得ることが困難な状況でした。
これらの課題を解決するため、弊社はまずクライアントの最終的なゴールである「安全で快適なスタジアム体験の提供」を深く理解することから始めました。その上で、AI画像認識技術のリスク(環境光の変化や人の密集度による精度低下など)を考慮し、まずは一部エリアを対象とした実証実験(PoC)による段階的なアプローチをご提案しました。
プロジェクト推進においては、スタジアム特有の環境(屋外の天候、昼夜の照明変化、極端な人の密集など)を考慮したAIモデルのチューニングにこだわりました。机上の空論で終わらせず、現場で実際に「使えるデータ」を提供すること、そしてそのデータを基に来場者の安全と快適さにどう貢献できるかを常に念頭に置き、開発を進めました。
実証実験の結果、これまで把握が難しかったエリアごとの正確な人数と混雑状況をリアルタイムに可視化できる点が、特に高く評価されました。「どのゲートが、何時ごろ、どれくらい混雑するのか」がデータとして明確になり、警備員の最適配置や、効果的な来場者誘導計画の立案に繋がる、との期待の声をいただいています。また、来場者の属性データは、今後のイベント企画やテナント構成を検討する上で非常に貴重な情報であるとご満足いただけました。 この成功を受け、現在、対象エリアをスタジアム全域に拡大する本格導入に向けて、クライアント内で検討が進められています。将来的には、取得したデータを活用し、スポンサー向けのターゲティング広告配信や、飲食店の需要予測、清掃スタッフの最適配置など、スタジアム運営のあらゆる側面におけるDX推進の基盤となることが期待されています。